新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「……秋乃さんの様子は、どうだった?」
「え……」
「今日も、会いに行ってたんだろう? 新しい病院で、なにか困ったことはなさそうか?」
けれど視線を落とした私の髪を、綺麗な指が優しく梳いた。
唐突におばあちゃんの話題を出した湊を前に、私は顔を上げ、答えに詰まってしまった。
思い出すのは今日、おばあちゃんから聞かされた話だ。
湊が私に内緒でおばあちゃんに会いに行き……おばあちゃんと、色々と話し込んでいたということ。
そして話したことでおばあちゃんは安心して……私に、湊と幸せになりなさいと言ったのだ。
「桜?」
「……今日は、すごく顔色も良かったです。先生も、少しずつ回復に向かってるって言ってました。病院も……自分には勿体無いくらい良くしてもらっていて、湊には感謝ばかりだ……って」
「そうか……。良かった」
「はい。それで湊にも……どうぞよろしく伝えてほしいと言っていました。本当に色々と、いつもありがとうございます」
そっと微笑むと、湊は柔らかに目を細めて笑った。
本当は……湊の顔を見るまでは、今日、おばあちゃんに聞いたことを湊に尋ねようと思っていた。
ひとりで、おばあちゃんに会いに行ったんでしょう?
別に教えてくれても良かったのに、どうして敢えて私に内緒にしているの?