悪しき令嬢の名を冠する者
「……ッ……申し訳ありません」

「ねぇ王子、私が彼の首を撥ねたいって言ったら撥ねてくださる?」

「ああ。美しい君の頼みなら喜んで」

「そう。良かったわ」

「エレアノーラ様……! どうか命だけは……!」

「命を欲しいとは言ってないわ」

「え……?」

 私の表情を確認するかのように顔を上げるガストン様。無表情のまま冷たい眼差しで見降ろしていると、視線が絡んだ瞬間、彼は再び頭を下げた。

 土下座なんて情けないと思わないのだろうか。

「私は首が欲しいと言ったのよ」

「……ッ……!? なんでもします! ですから、どうかそれだけは……!」
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