悪しき令嬢の名を冠する者
「貴方がシュプギーね」

「お久しぶりです。リーリエ様」

「ごめんなさい。私は貴方が誰か、まだ分からないの」

「それでいいんだよ。貴女は何も知らずに暮らしていればいいんだ」

「無理よ……」

「そう言うと思ってた」

 クスリという笑声が肩口を擽る。懐かしいような雰囲気に警戒する気にはならなかった。
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