悪しき令嬢の名を冠する者
「自由よ。自由だわ」

「お嬢様、失礼致します」

「早くしなさいよ。のろま」

 目を眇めて言い放てば、怯えたように肩を揺らすマリー。己の言葉一つで、人の感情を揺さぶっている様に快感を煽られる。思わず高笑いを零せば、蒼い顔で目を泳がせていた。

「そんなにやめたいのかしら?」

「も、申し訳ありません!」

 いつもの如く連ねた言葉は私に高揚を教えてくれたのだった。
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