悪しき令嬢の名を冠する者
第3輪*side レイニー*
*
「このドレスは嫌いよ」
「色が可愛くないわ」
「舞踏会なら一番いいものを身に付けていかなくちゃ」
「庭はもっと豪華にして」
「料理が不味いわ」
「こんな安いお茶を出すなんて私を馬鹿にしているのかしら?」
「本当にクズね」
「貧しい者は心も貧しいのね。お可哀想」
したいことを、していった。したことだけを、していった。けれど得たものは――
「飽きましたわ……」
凄まじい虚無感と疲労。そして向けられる悪意である。豪華なものは見た目だけで、すぐに飽きてしまうし、食事だって高いものがいいとは限らなかった。
「このドレスは嫌いよ」
「色が可愛くないわ」
「舞踏会なら一番いいものを身に付けていかなくちゃ」
「庭はもっと豪華にして」
「料理が不味いわ」
「こんな安いお茶を出すなんて私を馬鹿にしているのかしら?」
「本当にクズね」
「貧しい者は心も貧しいのね。お可哀想」
したいことを、していった。したことだけを、していった。けれど得たものは――
「飽きましたわ……」
凄まじい虚無感と疲労。そして向けられる悪意である。豪華なものは見た目だけで、すぐに飽きてしまうし、食事だって高いものがいいとは限らなかった。