悪しき令嬢の名を冠する者
「生きる意味、ね……美少年、君はまだ戻れる。民として翻弄されるかもしれないけれど、ギロチンで首を落とされるような危険は回避出来るんだよ」

「首ならまだいいね。俺は拷問される覚悟だって出来てる。勿論、嬲られたって情報を吐かない〝覚悟〟をね。
 ベルに拾ってもらったあの日から、俺は俺になったんだ。
 だから、いい加減、子供扱いはやめてよ。俺だって役に立ちたい」

「俺だってねぇ、分かってるんだよ。お前は子供じゃないって。でも非力なお前だから心配で仕方ないんだ……親心ってやつかな」

「ベルが親とかキモイ」

「話は最後まで聞きな。俺は、お前を子供扱いしたことはないんだよ。だから今回は、ちゃーんと任せる。ね、フィン」

「ああ。ロビン、お前にはレイニー様の従僕(フットマン)として屋敷に入り込んで欲しい」

「俺が……?」

「出来ないとは言わせないぞ」

「出来ないって言うと思ってるの? 大歓迎だよ」

「じゃあ、コレ。レイニー様からの課題だ」

「え?」

「従僕の試験は一週間後。必要事項は一覧を作っておいたから分からないことはベルナールに」
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