悪しき令嬢の名を冠する者
「俺の言葉に、一々、返すのも珍しいかと。以前は無視だったじゃないですか」

「私が何を話そうと、私の自由でしょう。相変わらず無礼な奴ね」

「そうですね。そういえば、あんなに嫌っていた花が気になっているようでしたが趣味でも変わりました?」

「お黙りなさい! 私が何をしようが自由でしょう。貴方は黙って犬のように付き従ってればいいのよ!」

 燃えるような怒りが身を焼いた。きっと、これは私の感情じゃない。今迄この国で生きてきた〝エレアノーラ〟の思い。そうでなければ、こんな言葉一つで憤る理由が思いつかなかった。
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