悪しき令嬢の名を冠する者
「さぁ私の部屋に!」

「嫌だって言ってるでしょう! 第一、貴女お付きはどうしたのよ!?」

「撒いてきましたの」

「お転婆もいい加減にしなさいよ!?」

 押し問答を続ける私たちの声が早朝の廊下に響き渡る。



 そろそろメイド達が駆けつけてくるのではないか。

 そうなれば私の立場が危うくなる。

 なんだこの馬鹿力は。



 怒りや焦りが巡り、冷や汗が滲む。助けてくれないユアンを睨み、私は困り果てていた。
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