悪しき令嬢の名を冠する者
第26輪*side レイニー*
「どうなさいました?」
安堵を誘う薫りが鼻孔を擽る。背に温もりを感じたかと思えば、淡い力で抱き寄せられた。
彼の胸にスッポリと収まり目を瞠る。仰いだ先には涼しい顔のフィンがいた。
「フィン」
「遅くなりました」
「貴方、誰ですの?」
「御無礼を。私、レイニー様の護衛をしております。フィンレイと申します」
「そうなの? 私、エレアノーラ様とお茶がしたいの! いいかしら?」
許したら許さないわよ。そんな想いを込めて彼を睨み付ける。
そうしていると柔らかな笑みを携えたフィンが、カタリーナ様の御前で跪いた。
安堵を誘う薫りが鼻孔を擽る。背に温もりを感じたかと思えば、淡い力で抱き寄せられた。
彼の胸にスッポリと収まり目を瞠る。仰いだ先には涼しい顔のフィンがいた。
「フィン」
「遅くなりました」
「貴方、誰ですの?」
「御無礼を。私、レイニー様の護衛をしております。フィンレイと申します」
「そうなの? 私、エレアノーラ様とお茶がしたいの! いいかしら?」
許したら許さないわよ。そんな想いを込めて彼を睨み付ける。
そうしていると柔らかな笑みを携えたフィンが、カタリーナ様の御前で跪いた。