悪しき令嬢の名を冠する者
「ロビン」

「はい」

「教えてあげるわ。手紙の意味を」

「え……」

「今回のじゃなくて前回のものだけどね」

「それをベルに伝えろと?」

「ええ。そしてあの人にも一緒に考えて欲しいの。シュプギーの正体を」

「レイニー様、此方に」

 けれど違うと分かってしまえば、それはそれで気持ちが歪む。

 愛の言葉を隠れ蓑に二人だけの言葉を用いるなんて、と。

 ああ、羨ましくて仕方がない、と。

「ありがとう」

 謝礼代わりに向ける安い笑顔が憎らしい。そんな俺の考えなんてレイニー様は知る由もなく、手紙を読み上げた。
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