悪しき令嬢の名を冠する者
第34輪*side ユアン*
「どうして知っていて黙っていた」
「言う必要性を感じなかっただけだよ。僕はレジスタンスの味方でも、王家の味方でもない。ヴィンス様の味方だから」
「いつから、そんなに忠義溢れる臣下になったんだよ」
「初めからだよ。僕は彼に仕えると決めた時、迷ったらヴィンス様を道標にすると決めたんだ」
「……俺だって……」
「へぇ、君がそこまでエレアノーラ様に骨抜きにされてたなんてね」
「俺だって誓いを立てた。裏切るわけがないだろ」
「あの誓いを立てたんだ。彼女は悪の貴族の娘だよ? いつ裏切るかなんて分からないじゃないか」
「あの人は裏切らない」
「君が彼女を裏切るから?」
僕の言葉に彼が柳眉を寄せる。真ん中で分けられた髪のせいで眉間の皺がありありと見えた。
「言う必要性を感じなかっただけだよ。僕はレジスタンスの味方でも、王家の味方でもない。ヴィンス様の味方だから」
「いつから、そんなに忠義溢れる臣下になったんだよ」
「初めからだよ。僕は彼に仕えると決めた時、迷ったらヴィンス様を道標にすると決めたんだ」
「……俺だって……」
「へぇ、君がそこまでエレアノーラ様に骨抜きにされてたなんてね」
「俺だって誓いを立てた。裏切るわけがないだろ」
「あの誓いを立てたんだ。彼女は悪の貴族の娘だよ? いつ裏切るかなんて分からないじゃないか」
「あの人は裏切らない」
「君が彼女を裏切るから?」
僕の言葉に彼が柳眉を寄せる。真ん中で分けられた髪のせいで眉間の皺がありありと見えた。