悪しき令嬢の名を冠する者
第36輪*side レイニー*
「カタリーナ様」
「はじめて名前で呼んでくださったわね。なにかしら?」
「貴女は母国を憂うことはあるのかしら?」
「私は、いつも民を思っていますわ。私の家族ですもの」
「そう」
やはり、この姫は阿呆だ。憂うことが民を救うことではないのに、恥ずかし気もなく微笑出来るのは、相当、頭が軽いからに違いない。
「ねぇ、エレアノーラ様は何に怒ってらっしゃるの?」
「え?」
「私に何を見ているの?」
「何を仰ってるのかよく分からないわ」
「貴女はずっと怒ってばかりいるわ。可愛らしい顔を鬼のように歪ませて。
はじめは強引に誘ったから怒ってらっしゃるのかと思っていたの。でもエレアノーラ様は私を見ていないわ。だから、何かを重ねているのかと……見当違いだったらごめんなさいね」
「はじめて名前で呼んでくださったわね。なにかしら?」
「貴女は母国を憂うことはあるのかしら?」
「私は、いつも民を思っていますわ。私の家族ですもの」
「そう」
やはり、この姫は阿呆だ。憂うことが民を救うことではないのに、恥ずかし気もなく微笑出来るのは、相当、頭が軽いからに違いない。
「ねぇ、エレアノーラ様は何に怒ってらっしゃるの?」
「え?」
「私に何を見ているの?」
「何を仰ってるのかよく分からないわ」
「貴女はずっと怒ってばかりいるわ。可愛らしい顔を鬼のように歪ませて。
はじめは強引に誘ったから怒ってらっしゃるのかと思っていたの。でもエレアノーラ様は私を見ていないわ。だから、何かを重ねているのかと……見当違いだったらごめんなさいね」