悪しき令嬢の名を冠する者
「少し見誤っていたかもしれないわ」
「え……?」
「私、やっぱり貴女が大嫌いよ。花畑にでも戻ったら如何かしら? 妖精さん」
徐に立ち上がった私は、冷めきった紅茶が入ったカップを片手に姫に近付く。疑問符を浮かべる面々に微笑を浮かべると、白い陶器を逆さまにした。
姫の頭上で踊る琥珀の液体。そのまま嫋やかな髪を濡らす筈だった甘露はカップの割れる音で引き裂かれた。
「レイニー……様、それはいけません」
「ロビン……」
彼女に掛けようと思っていた紅茶が彼の胸元に染みを作る。私の掌から弾かれたカップは部屋の隅で散り散りになっていた。
姫を庇うように私を見据えるロビン。その背後ではカタリーナ様が目を瞠っていた。
目の端ではメイドが顔を赤黒くしている。今にも噛みついてきそうな雰囲気に私は胸中で苦笑を零した。
「え……?」
「私、やっぱり貴女が大嫌いよ。花畑にでも戻ったら如何かしら? 妖精さん」
徐に立ち上がった私は、冷めきった紅茶が入ったカップを片手に姫に近付く。疑問符を浮かべる面々に微笑を浮かべると、白い陶器を逆さまにした。
姫の頭上で踊る琥珀の液体。そのまま嫋やかな髪を濡らす筈だった甘露はカップの割れる音で引き裂かれた。
「レイニー……様、それはいけません」
「ロビン……」
彼女に掛けようと思っていた紅茶が彼の胸元に染みを作る。私の掌から弾かれたカップは部屋の隅で散り散りになっていた。
姫を庇うように私を見据えるロビン。その背後ではカタリーナ様が目を瞠っていた。
目の端ではメイドが顔を赤黒くしている。今にも噛みついてきそうな雰囲気に私は胸中で苦笑を零した。