悪しき令嬢の名を冠する者
第37輪*side レイニー*
*
「とてもいい判断ね」
「恐れ入ります。ですが、やりすぎでは?」
「私を誰だと思って? 悪しき令嬢としてあのくらい何でもないわ。
それに、あそこまでやれば二度と顔を合わせたいとも思わないでしょう? 詮索されるのは本意じゃないしね。
もう敬語はいらないわよ」
「そこまで考えて……だけどやっぱりやりすぎだよ」
「ふふっ、メイドの叫び声聞いた? 笑っちゃうわね。〝あの泥棒猫!〟ですってよ? 今時、泥棒猫なんて言わないわよね? それに私を猫で例えるなら、もっと気品のあるものにして欲しいわ。それこそ……」
「もういいよ。演技はそこまでで……」
「あら、言い逃れしないのね?」
「レイニーを騙せるなんて思ってないよ。それに、あのまま退室したのは俺の為だよね」
「思い上がりよ。早く屋敷に戻りたかっただけだわ。……と、言いたいところだけど、女の子(レディ)を、そんな格好のまま立たせる訳にはいかないもの」
濡れたシャツが胸元に密着している。透けているのは晒。胸部は僅かに丸びを帯び、とても〝男〟の身体には見えなかった。
「とてもいい判断ね」
「恐れ入ります。ですが、やりすぎでは?」
「私を誰だと思って? 悪しき令嬢としてあのくらい何でもないわ。
それに、あそこまでやれば二度と顔を合わせたいとも思わないでしょう? 詮索されるのは本意じゃないしね。
もう敬語はいらないわよ」
「そこまで考えて……だけどやっぱりやりすぎだよ」
「ふふっ、メイドの叫び声聞いた? 笑っちゃうわね。〝あの泥棒猫!〟ですってよ? 今時、泥棒猫なんて言わないわよね? それに私を猫で例えるなら、もっと気品のあるものにして欲しいわ。それこそ……」
「もういいよ。演技はそこまでで……」
「あら、言い逃れしないのね?」
「レイニーを騙せるなんて思ってないよ。それに、あのまま退室したのは俺の為だよね」
「思い上がりよ。早く屋敷に戻りたかっただけだわ。……と、言いたいところだけど、女の子(レディ)を、そんな格好のまま立たせる訳にはいかないもの」
濡れたシャツが胸元に密着している。透けているのは晒。胸部は僅かに丸びを帯び、とても〝男〟の身体には見えなかった。