悪しき令嬢の名を冠する者
第5輪*side レイニー*
「意味は御座いません。暇そうにしていらしゃったので、暇潰し程度にはなるかと思っただけです」
「質問を変えるわ。お前は誰の味方なの?」
「……と、申しますと?」
「コレを私に渡す。それも何故〝今〟なのか。お前には考えがあった筈よ。
こんな些末な嫌がらせなら、今迄だってする機会はあった。それなのに、しなかった意味はなにかしら? わざわざ仲間を募る〝民の声〟を載せたコレを貴族の私に渡す意味。フィンは私に何を見せたいと思ったの? それとも試験のつもり?」
「感服致しました」
「正直に話しなさい。そうしないとお父様に告げるわ」
「勿論です。では俺からも一つ。アンタは誰ですか?」
「またそれなの? ふざけてるなら……」
「これがふざけている人間の顔に見えますか?」
彼の言葉にグッと押し黙る。騒ぐ心を落ち着かせようと紅茶を傾ければ、身体に染みわたっていくのが分かった。
「質問を変えるわ。お前は誰の味方なの?」
「……と、申しますと?」
「コレを私に渡す。それも何故〝今〟なのか。お前には考えがあった筈よ。
こんな些末な嫌がらせなら、今迄だってする機会はあった。それなのに、しなかった意味はなにかしら? わざわざ仲間を募る〝民の声〟を載せたコレを貴族の私に渡す意味。フィンは私に何を見せたいと思ったの? それとも試験のつもり?」
「感服致しました」
「正直に話しなさい。そうしないとお父様に告げるわ」
「勿論です。では俺からも一つ。アンタは誰ですか?」
「またそれなの? ふざけてるなら……」
「これがふざけている人間の顔に見えますか?」
彼の言葉にグッと押し黙る。騒ぐ心を落ち着かせようと紅茶を傾ければ、身体に染みわたっていくのが分かった。