悪しき令嬢の名を冠する者
「ここまで話したんだから話してくれないと困るわ」

「……さ……だ……」

「え?」

「だから……! ……れたんだよ……」

「はい?」

「〝リー〟って呼ばれてキスされたんだよ‼︎」

 あまりにも唐突な告白に瞠目する。〝へ?〟と間の抜けた声を出せば、更に顔を真っ赤にさせるロビン。それよりも〝リー〟という呼び名が気になった。

「とりあえずコレを羽織ってなさい。屋敷までは、もう少しよ」

 自らのコートを手渡し深く息を吐き出す。続きを促せば彼女は己を落ち着かせるように深呼吸していた。少しずつ赤みが引いていく。

 何故、今そんなことを言ったのかは気になるが、興味深い話だった。
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