悪しき令嬢の名を冠する者
「二人が英雄になった暁にはギロチンを撤去して欲しい。俺のような子供がいなくなるように」

 魂願するような瞳に気圧される。気軽に首肯出来るほど革命は甘くない。けれど――




「落とされる首が私達か王族か……どちらにせよ、それで最後にしたいわね」

 意気地なし。心の中で誰かにそう言われた気がした。今更ながら襲ってくる恐怖を叱咤し真っ直ぐに彼女を見据える。

 フィンに抱きしめて欲しい気分だった。彼は私を怒らない。厳しいことは言っても、けして怒りは向かないのだ。

 そっと抱きしめて、そのまま背中を押して欲しい。そう思った。



 開戦の火蓋は落とされる。合図は――
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