悪しき令嬢の名を冠する者
少女の話は簡単だ。単純にドア前で聞き耳を立てていたのだろう。そんなことをせずとも隣には漏れていた筈だが。
そして私を確信へ導いたのは恋人の話だ。ヴィンスはユアンの姉の話だと思っていたようだが、それは間違いである。答えは言うまでもない。
〝あのことは永遠に秘密〟
よく出来たメッセージだ。これは皆に前世のことを黙っているようにという示唆ではない。自らの正体は永遠に明かすことがないだろうという暗示だった。
捕まえられなければ逃げられてしまう。だからこそ皆の前で正体を明かし、逃げられないように檻へと誘った。
自ら足を進めた彼を檻に閉じ込め、私は確信する。ユアンは端から正体を明かすつもりだったのだ、と。
もしかしたら気付いて欲しかったのかもしれない。私の中の〝リーリエ〟が号哭していた時のように。
――誰か気付いて、と。
そして私を確信へ導いたのは恋人の話だ。ヴィンスはユアンの姉の話だと思っていたようだが、それは間違いである。答えは言うまでもない。
〝あのことは永遠に秘密〟
よく出来たメッセージだ。これは皆に前世のことを黙っているようにという示唆ではない。自らの正体は永遠に明かすことがないだろうという暗示だった。
捕まえられなければ逃げられてしまう。だからこそ皆の前で正体を明かし、逃げられないように檻へと誘った。
自ら足を進めた彼を檻に閉じ込め、私は確信する。ユアンは端から正体を明かすつもりだったのだ、と。
もしかしたら気付いて欲しかったのかもしれない。私の中の〝リーリエ〟が号哭していた時のように。
――誰か気付いて、と。