悪しき令嬢の名を冠する者
第46輪*side レイニー*
「ねぇ、マリ―は……」
「舌を噛みますよ」
「でも……」
「飛ばします」
馬の背に乗り走る。彼女の腰に腕を回せば、ただの細腰で、間諜だなんて未だに信じられなかった。
それでも口を開けば、冷淡といなされる様に嘘ではないと確信する。
全てが偽りだったことを知ると、黙って付いてきて良かったのだろうか、と迷いが生じる。選択の余地が無かったとはいえ、己の浅はかさに羞恥を感じた。
「舌を噛みますよ」
「でも……」
「飛ばします」
馬の背に乗り走る。彼女の腰に腕を回せば、ただの細腰で、間諜だなんて未だに信じられなかった。
それでも口を開けば、冷淡といなされる様に嘘ではないと確信する。
全てが偽りだったことを知ると、黙って付いてきて良かったのだろうか、と迷いが生じる。選択の余地が無かったとはいえ、己の浅はかさに羞恥を感じた。