悪しき令嬢の名を冠する者
颯爽と歩く背中を、歩みを速め付いて行く。慌てて階段を駆け上がると、鉄臭さが鼻孔を突いた。
本棚の裏から現れた私達に目を瞠る軍勢。その中の一人はベルナールで、此方も吃驚を隠せなかった。
「エレアノーラ嬢……どうしてココに……」
囁きが鼓膜を震わせ、次いで剣を振り落とす音が響いた。人を切り裂いた刃が床との接触を告げる。猩々緋が緩慢に侵食し、赤い絨毯を汚く染め上げた。
「お嬢様」
「待て! お前は誰だ!? 何故此処にエレアノーラ嬢……お前は!?」
走り出すマリーの肩を反転させたベルナールが、荒い息とともに驚きを露わにする。
一方のマリーは何かするでもなく、彼と見つめ合っていた。
本棚の裏から現れた私達に目を瞠る軍勢。その中の一人はベルナールで、此方も吃驚を隠せなかった。
「エレアノーラ嬢……どうしてココに……」
囁きが鼓膜を震わせ、次いで剣を振り落とす音が響いた。人を切り裂いた刃が床との接触を告げる。猩々緋が緩慢に侵食し、赤い絨毯を汚く染め上げた。
「お嬢様」
「待て! お前は誰だ!? 何故此処にエレアノーラ嬢……お前は!?」
走り出すマリーの肩を反転させたベルナールが、荒い息とともに驚きを露わにする。
一方のマリーは何かするでもなく、彼と見つめ合っていた。