悪しき令嬢の名を冠する者
「お久しぶりです」

「死んだものと思っていたよ」

「残念ながら、ただでは朽ちぬ運命だったようで」

「そうか。では問おう。どちら側だ?」

「私は旦那様のもの。全ては彼の意のままに」

 武装したレジスタンスのメンバーが兵と切り合っている。血生臭い戦場で二人の声はやたら静かだった。

「成る程。侯爵様が娘を呼び出したのか」

「はい」
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