悪しき令嬢の名を冠する者
「あのねぇ、民から見たら、ただの末皇子が王位欲しさにクーデター起こしたようにしか見えないわけ? 分かるぅ?」
「ああ。だから今よりいい国を作る。少なくとも民が飢え死にしない国をな」
「若いっていいねぇ! でも王様の時代はまだ終わってない。喧嘩を仕掛けるには、ちょーっと爪が甘いよねぇ。ヴィンス君。交渉は決裂のようだし戦おうよ」
波打つ金糸を揺らしながら、父はゆったりと数段ばかりの階段を下る。その間に腰から引き抜いた刃は煌めき、鋭さを主張していた。
「悪の貴族たる所以は、その狂った思考か?」
「酷いなぁ。単純な話だろ? 王を守って、君達を殺して、晒し首にするだけ。僕が勝てば戦は王族の勝利となる。
チェスだってキングを撃ち取った方が勝ちなんだしぃ」
「お前のような父親じゃ、レイニーが我儘放題になるのも分かる気がするな」
「だってよ? レイニーちゃんディスられて可哀想~」
軽口を飛ばし合う二人が剣を構え牽制し合う。鈍く光る切っ先を眺め、息を呑んでいれば火花が散った。
「ああ。だから今よりいい国を作る。少なくとも民が飢え死にしない国をな」
「若いっていいねぇ! でも王様の時代はまだ終わってない。喧嘩を仕掛けるには、ちょーっと爪が甘いよねぇ。ヴィンス君。交渉は決裂のようだし戦おうよ」
波打つ金糸を揺らしながら、父はゆったりと数段ばかりの階段を下る。その間に腰から引き抜いた刃は煌めき、鋭さを主張していた。
「悪の貴族たる所以は、その狂った思考か?」
「酷いなぁ。単純な話だろ? 王を守って、君達を殺して、晒し首にするだけ。僕が勝てば戦は王族の勝利となる。
チェスだってキングを撃ち取った方が勝ちなんだしぃ」
「お前のような父親じゃ、レイニーが我儘放題になるのも分かる気がするな」
「だってよ? レイニーちゃんディスられて可哀想~」
軽口を飛ばし合う二人が剣を構え牽制し合う。鈍く光る切っ先を眺め、息を呑んでいれば火花が散った。