悪しき令嬢の名を冠する者
第49輪*side レイニー*
肩で父の攻撃を受けたフィンは脂汗を流しながら、虚空を薙ぐかのように刃を振るう。
それを避けた父が妖しく笑ったのが分かった。すっかり狂った表情に背筋が粟立つ。
「なんで庇ってんのぉ? お前こっち側じゃなかった? レイニー置いて逃げないから反応遅れてモロに食らってんじゃん」
「突然のことだったので……」
「はいはい。もう嘘はいいよ。はじめっからお前はレイニーを逃がすつもりだったんでしょ? でもざーんねん。レジスタンスは殺しちゃうよ。全員ね」
「エレアノーラ様お怪我は?」
「大したことないわ……それよりフィンが……」
駆けつけたユアンに支えられながら上体を起こす。改めてフィンに視線を向けると、血の海が出来上がっていた。
抉れた肩口から漏れだす濃厚な血液。真っ赤に染まった服は元の色が分からないほどだ。
それを避けた父が妖しく笑ったのが分かった。すっかり狂った表情に背筋が粟立つ。
「なんで庇ってんのぉ? お前こっち側じゃなかった? レイニー置いて逃げないから反応遅れてモロに食らってんじゃん」
「突然のことだったので……」
「はいはい。もう嘘はいいよ。はじめっからお前はレイニーを逃がすつもりだったんでしょ? でもざーんねん。レジスタンスは殺しちゃうよ。全員ね」
「エレアノーラ様お怪我は?」
「大したことないわ……それよりフィンが……」
駆けつけたユアンに支えられながら上体を起こす。改めてフィンに視線を向けると、血の海が出来上がっていた。
抉れた肩口から漏れだす濃厚な血液。真っ赤に染まった服は元の色が分からないほどだ。