悪しき令嬢の名を冠する者
 亡骸に想いを馳せる。

 ――巻き込んでしまってごめんなさい。

 ――家族の元に返してあげられなくてごめんなさい。

 ――勝利を収められなくてごめんなさい。

 ――私だけ生き残ってごめんなさい。

 いくら謝罪を重ねても。神に祈っても。誰も生き返ってはくれない。

 フィンにも裏切られたと思っていたのに、結局助けられただけだった。礼も言えず立ち去ってくるなんて罪悪でしかない。



 正解とはなんだ。

 正しさとはなんだ。



 考えれど、考えれど、私には何一つ分からなかった。
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