悪しき令嬢の名を冠する者
「ごめんなさい」

 自分を見ているようだと思ったのに、そうではないことに気付く。私は自分に正直に生きている姿を羨ましいと思っていただけだ。

「また会える日を願っているわ。エレアノーラ様」

「私も。カタリーナ様」

 彼女の手から直接受け取ったものは温もりを保っていて、私の涙腺を刺激した。
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