悪しき令嬢の名を冠する者
 睡蓮は〝再生〟の象徴だと誰かが言っていた。どこかの国の逸話では太陽を支えていた、とも。

 何ものにも染まらない漆黒は、けして闇の色ではない。純粋を保つことの出来る美しい色なのだ。



 白皙には漆黒のドレスが合う。

 揺蕩う金糸には漆黒の髪飾りが合う。

 蒼の双眸を縁取るにも漆黒が合う。



 ――滅亡なんて二度とさせない。



 僕が育てた花を白日の下へ晒そう。艶美な容姿に酔わせてやらなくもない。

「その命、有り難く頂戴致します」




 ――僕は二度と自らに嘘を吐かない。

 ――アナタが大切だから。
< 333 / 374 >

この作品をシェア

pagetop