悪しき令嬢の名を冠する者
「コルセットに慣れていないんでしょう? だから少しでも楽になるように、このドレスを手配したのよ。とても優しい傍仕えね」

「そうね……」

「体調のせいかと思ったけれど……唇の色が戻っても浮かない顔をしているのね。どうなさったの?」

 床にへたり込んでいる私に目線を合わせ、彼女は顔を近付けてくる。

 あまりの近さに頬を染め上げれば、クスリと笑う美少女。こんなに魅力的な少女なら男などイチコロだろう。
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