悪しき令嬢の名を冠する者
「まったく。あとを追うだなんてはしたない。ダンスなんて面倒なことしたくないから抜け出してきたのに」

「……羨ましいわ」

「貴女も少し頑張れば引く手数多よ。そうしたら男を掌で転がしておやりなさい。とっても楽しいわよ」

「冗談が、お上手ね」

「ふふっ」

「レイニー様! アンタはまた!」

 顔を見合わせて笑い合う。そうしていれば再び彼女を呼ぶ声が聞こえた。

「あら、フィン。早かったわね」
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