悪しき令嬢の名を冠する者

*side カタリーナ*【後編】

 私は今でも後悔している。あの真っ赤な薔薇を枯らしてしまったことを。一枚ずつ、ほろほろと落ちていく花弁を私は諫めることが出来なかった。

「貴女は強いわね。ヴィンスの心を射止めたんでしょう?」

 彼女は私の娘と手を繋ぎ、柔らかい声で問いかけてくる。それに微笑を零せば、不思議そうな顔をしていた。
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