悪しき令嬢の名を冠する者
 美しい。美しい令嬢を我が友に。

 彼女に居場所を与えよう。あの時、私に居場所を与えてくれた彼女に、それ以上のものを与えたい。

 ずっと昔から決めていたのだ。証には薔薇を贈ろうと。棘のない薔薇を十三本だけ花束にして。

 聡明な彼女はすぐに気付くだろう。美麗な花束の意味に。



 ――花言葉は〝永遠の友情〟



 受け取ってくれたなら、それは私にとって幸福以外の何物でもない。

「国に帰ったらね、話したいことが沢山あるの。きっと皆もそうだと思うわ」

 私は笑う。今日も、明日も、明後日も。何年後だって笑っていよう。



 ——アナタと笑っていたいから。
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