悪しき令嬢の名を冠する者
「いい加減、飲むのやめなよ」

「もうクセになってるんだよ」

 酔いつぶれることがなくなったものの、リーへの追悼は続いている。

 彼女は生きていた。それがどれだけ嬉しかったことか。少なくとも心が満たされたのは事実だ。

 それでも、あの子を殺した罪は消えてなどくれない。散々、拷問を受け、それでも国を裏切らなかった彼女を、俺は闇へと突き落としたのだから。
< 357 / 374 >

この作品をシェア

pagetop