悪しき令嬢の名を冠する者
「ねぇ、ユアン」

「なに?」

「エレアノーラ嬢ってあんなんだっけ?」

「あんなん?」

「逞しすぎない?」

「前からあんなもんだよ」

「ふ~ん、あんなに見事なパンチ見せられたら浮気なんて出来ないね」

「する気もないよ。彼女以外目に入らないからね」

「惚気どーも」

 柔らかく口元を緩める彼には甘い雰囲気が漂っている。

 親子喧嘩を見守っているヴィンスとカタリーナ様は大したものだ。さすが王と王妃。器が違う。
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