悪しき令嬢の名を冠する者
第8輪*side レイニー*
「少し歩きます。辛抱を」
「分かっているわ」
彼のエスコートに身を任せながら暗い路地裏を歩む。
距離は測れないし道順もよく分からなかったが、灯りを象った店を見つけたことで酒場に着いたのだと知った。
「レイニー様」
「どうかしたの?」
「この中にはアンタに無礼なことを言う輩もいると思う。俺が守る。だから負けないでください」
「フィン」
「はい」
「誰に言ってるのかしら? 私は社交界に名を馳せる悪女〝エレアノーラ〟よ?」
「悪名で胸を張らないでくださいよ。まったくアンタは……」
彼は躊躇いを含みながら重そうな木造りの扉を開け放つ。目で促された為、先に足を踏み入れると眩い光景が広がった。
「分かっているわ」
彼のエスコートに身を任せながら暗い路地裏を歩む。
距離は測れないし道順もよく分からなかったが、灯りを象った店を見つけたことで酒場に着いたのだと知った。
「レイニー様」
「どうかしたの?」
「この中にはアンタに無礼なことを言う輩もいると思う。俺が守る。だから負けないでください」
「フィン」
「はい」
「誰に言ってるのかしら? 私は社交界に名を馳せる悪女〝エレアノーラ〟よ?」
「悪名で胸を張らないでくださいよ。まったくアンタは……」
彼は躊躇いを含みながら重そうな木造りの扉を開け放つ。目で促された為、先に足を踏み入れると眩い光景が広がった。