悪しき令嬢の名を冠する者
穏やかに流れるレコード。カウンターでエールを傾ける客。テーブルを囲む男達は杯を交わし合っているし、中にはポーカーに現を抜かす客もいた。
店員はチェックシャツにジーンズといったラフな格好で客と談話している。温かな雰囲気は、とてもレジスタンスの根城には思えなかった。
「フィンじゃん。久しぶり~、ユアンと逢引かな?」
カウンターでグラスを磨いていた男が笑顔で手を振る。それに返事も返さないフィンは私の腰に手を添え、カウンターへ導いた。
「あれ? 逢引は綺麗なお姉さんとだったのかな? フィンも隅に置けないねぇ~、町娘風にしてるみたいだけどワンピースが綺麗過ぎ。貴族のお嬢様かな?」
「え?」
「俺、人間観察が趣味なの。どう? 当たり?」
オリーブシェイの髪が彼の動きに合わせてふわふわ揺れる。柔らかな癖毛と同色の瞳を細め、男は自信あり気に笑っていた。
店員はチェックシャツにジーンズといったラフな格好で客と談話している。温かな雰囲気は、とてもレジスタンスの根城には思えなかった。
「フィンじゃん。久しぶり~、ユアンと逢引かな?」
カウンターでグラスを磨いていた男が笑顔で手を振る。それに返事も返さないフィンは私の腰に手を添え、カウンターへ導いた。
「あれ? 逢引は綺麗なお姉さんとだったのかな? フィンも隅に置けないねぇ~、町娘風にしてるみたいだけどワンピースが綺麗過ぎ。貴族のお嬢様かな?」
「え?」
「俺、人間観察が趣味なの。どう? 当たり?」
オリーブシェイの髪が彼の動きに合わせてふわふわ揺れる。柔らかな癖毛と同色の瞳を細め、男は自信あり気に笑っていた。