悪しき令嬢の名を冠する者
第10輪*side フィン*
「悪しき貴族の令嬢様が本当に悪役になると? 二つ名は悪しき令嬢かな?」
「なんと言われようと構わない。悪しき令嬢? その名前、謹んで頂戴するわ」
彼女は高らかに宣言する。淡く輝く蒼の瞳は、真っ直ぐに王子を見据えていた。まるで自らの熱い想いを伝えるように。
「君、面白いね」
「面白い女性はお好き?」
「ああ。面白いことが第一条件だ」
「私も。楽しい殿方が好きなの。社交界のお遊びも飽きてしまったし、ヴィンセント様もそうじゃなぁい?」
「君になら騙されてみるのも面白いかもしれないな。エレアノーラ」
「まぁ、騙すだなんて人聞きの悪い。私の傀儡になってくださる? ヴィンセント様」
「傀儡、ねぇ。君にはもういるんじゃないかな。優秀な犬が」
「犬には別の仕事があるの。私が今欲しいのは貴方のような力を持つ殿方よ」
「ヒステリックを起こさないのはポイントが高いな。俺は知的な女性が好きでね。君の化けの皮を剥がすゲームも面白いかもしれない」
言葉を紡ぎながら彼は椅子から立ち上がる。レイニー様を見下ろしたかと思えば、無礼にも頬に手を添えた。
「なんと言われようと構わない。悪しき令嬢? その名前、謹んで頂戴するわ」
彼女は高らかに宣言する。淡く輝く蒼の瞳は、真っ直ぐに王子を見据えていた。まるで自らの熱い想いを伝えるように。
「君、面白いね」
「面白い女性はお好き?」
「ああ。面白いことが第一条件だ」
「私も。楽しい殿方が好きなの。社交界のお遊びも飽きてしまったし、ヴィンセント様もそうじゃなぁい?」
「君になら騙されてみるのも面白いかもしれないな。エレアノーラ」
「まぁ、騙すだなんて人聞きの悪い。私の傀儡になってくださる? ヴィンセント様」
「傀儡、ねぇ。君にはもういるんじゃないかな。優秀な犬が」
「犬には別の仕事があるの。私が今欲しいのは貴方のような力を持つ殿方よ」
「ヒステリックを起こさないのはポイントが高いな。俺は知的な女性が好きでね。君の化けの皮を剥がすゲームも面白いかもしれない」
言葉を紡ぎながら彼は椅子から立ち上がる。レイニー様を見下ろしたかと思えば、無礼にも頬に手を添えた。