悪しき令嬢の名を冠する者
「疑問なんだよ。何故、彼女は危険を犯す。黙っていれば平和に過ごせていたというのに」

「真っ先に首が飛ぶのは王族とヴェーン家だろ」

「ああ」

「それに気付いたからじゃないのか」

「つまり自分の為だと?」

「さぁ。俺はレイニー様じゃないから」

「その話、俺も混ざっていいかな?」

 ユアンがグラスを傾ける。喉仏が上下する様を眺めていれば、ベルナールが俺の隣に腰掛けてきた。
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