悪しき令嬢の名を冠する者
「そうですか」

「その反面、エレアノーラは面白い。表情がコロコロ変わるし、何より無礼だ!」

「王子は女性に何を求めているんですか」

「刺激だよ。ただニコニコしている女なら絵画でも眺めていればいい。一時の恋人ごっこなら娼館にでも行けという話だ。
 俺がしたいのは思わずほくそ笑んでしまいそうなこと。国を壊すのも一興としては面白い」

「それならば初めから協力なされば良かったのでは?」

「お前らの話には現実味が無かった」

 用済みになったバイオリンをカウチに投げ、寝台に飛び乗る彼。「楽にしろ」と言われたが、直立不動を続けていれば会話が再開した。
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