悪しき令嬢の名を冠する者
「レジスタンスを結成する。仲間を募り、貴族と繋がりを持つ。そこまでは分かる。だが誰一人〝その後〟の話をしなかった。
 だからこそユアンも〝賛成〟してなかったんだろう?」

「はい」

「壊すのは簡単だ。数と人脈。それさえ揃っていれば誰でも出来る。だが創るのは難しい。再生なくして崩壊は有り得ない。
 ユアンが何を思っていたかは知らないが、だからこそ安易に手を貸すことは出来なかった。俺も待っていたんだ。〝その後〟の話をする人間をね」

 ヴィンス様の仰っていることは尤もだ。自らの考えまで読まれていたことを知ると、浅はかさを突き付けらているようで心が震えた。
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