悪しき令嬢の名を冠する者
「は?」

「間抜けな顔。私、馬鹿は嫌いなのよ」

「え? は? んん?」

「聞こえてらっしゃる?」

「え、エレアノーラ様は気分が優れないのかな?」

「私、とっても元気よ?」

「なにを……」

「生憎、こういう物には興味がないのよ。貢物は小さい頃から散々されているんですもの」

「じゃ、じゃあ! なになら嬉しいんだ!? 私は君を妻にしたい!」

「あら、こんな私でも愛してくださるの?」

「勿論だ! 私は君を愛している! 当家と繋がりを持つのは、君の家だって悪くない筈だろ!?」

「そうね」

「だろ!? だから……」

「興味がないわ」
< 88 / 374 >

この作品をシェア

pagetop