悪しき令嬢の名を冠する者
第16輪*side レイニー*
*
――プライドを傷つける?
バーボンを舐めながらヴィンセント様は胡乱な声で問う。私は同じように甘いカクテルを傾け首肯した。
「ガストン様はプライドの高いお方よ」
「貴族は大抵そうだな」
「黙って聞いてちょうだい。ガストン様は夜会の度に私を部屋へ招こうとするの。そこを利用するのよ」
「下心見え見えでキモイな」
今にも吐きそうと言わんばかりに顔を歪める彼の手は、バーボンの瓶を掲げている。高い位置から注がれるそれは氷を押しのけ、グラスと共に音色を奏でた。
――プライドを傷つける?
バーボンを舐めながらヴィンセント様は胡乱な声で問う。私は同じように甘いカクテルを傾け首肯した。
「ガストン様はプライドの高いお方よ」
「貴族は大抵そうだな」
「黙って聞いてちょうだい。ガストン様は夜会の度に私を部屋へ招こうとするの。そこを利用するのよ」
「下心見え見えでキモイな」
今にも吐きそうと言わんばかりに顔を歪める彼の手は、バーボンの瓶を掲げている。高い位置から注がれるそれは氷を押しのけ、グラスと共に音色を奏でた。