悪しき令嬢の名を冠する者
第17輪*side レイニー*
「俺のこと知ってんの?」
「大変、失礼致しました! で、ですが何故、貴方様のような方がこのようなところに……」
「忍び込んでたんだ」
「しのび……えぇ!?」
驚きを露わにする彼を眺めながら体を起こす。
ふと肩口に温もりを感じ視線をやれば、ジャケットが掛けられていた。見慣れた色に慌てて傍を見上げる。そこに居たのは案の定フィンで、私は胸を撫で下ろした。
「レイニー様」
「フィン」
先程まで彼が身に付けていたものなのだろう。柔らかな薫りが鼻孔を擽る。安心感を得たいが為に私は襟をかき寄せた。
「大変、失礼致しました! で、ですが何故、貴方様のような方がこのようなところに……」
「忍び込んでたんだ」
「しのび……えぇ!?」
驚きを露わにする彼を眺めながら体を起こす。
ふと肩口に温もりを感じ視線をやれば、ジャケットが掛けられていた。見慣れた色に慌てて傍を見上げる。そこに居たのは案の定フィンで、私は胸を撫で下ろした。
「レイニー様」
「フィン」
先程まで彼が身に付けていたものなのだろう。柔らかな薫りが鼻孔を擽る。安心感を得たいが為に私は襟をかき寄せた。