不器用な暴君社長
section1
「ご、ご、ごめんなさいーーー!」
ドジな私は、運んでいた熱いお茶をこぼしてしまった。
それも、社長の胸にぶちまける形で…。
終わった…
私の人生終わった…
「っ!お前…」
クビね。
その言葉が来るはずだった。
だけど、まだ辞めたくない!
就活全部落ちて、ギリギリで受かったこの会社、次を探すのは大変だ。
「許してください!
何でもしますので…」
…言ってしまった…
今まで、この社長にクビになりそうになって、この言葉を言った人達は、みんな扱いに耐えられなくて自主退職している…らしい…
そんな噂が流れているから、禁句だったはずなのに…
「ねぇ、それ本気?」
「は、は、は、はい…!」
「へぇ…いい度胸してんね。
気に入った。
お前、今日から俺の奴隷ね。」
社長はそう言って、ニヤリと笑った。
平穏な生活にはもう戻れないだろう…
だけど、どんな扱いをされても自主退職なんかしない!
それを心に決めるしか無かった。
「とりあえず、お前、今から社長室に来い。」
「は、はい。」
社長室で何をやらされるんだろう…
そうビクビクしながら社長の後をついて行った。
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