君とのゲームの行方
「ごちゃごちゃ言わないの~。やるの? やらないの?」

 冗談交じりに不機嫌そうに言う茜。俺はいまだに困惑しながらも、ベッドから降りてテレビの前の茜の隣に座った。

「……やる」

「よし」

 茜は心底満足そうに笑って頷いた。そして本体の電源を入れ、コントローラーを握った。俺も慌てて茜の後に続いた。

 ――なんだこれ。なんでお前、そんなに普通なんだよ。だから、直樹のことはどうなったんだ?

「あ、ちょっとー。マ〇オ取ったわねー。私もマ〇オがいいのにさー。ずるいよ、もう」

「……あ、えっと」

「もう、じゃあいいよルイ〇ジでー」

 キャラ選択の場面で、いつものように文句を言う茜。俺も普段なら“こういうのは早いもの勝ちなんですー”と意地悪く言うのだが、どうもいつものようにいかない。

「よし、でも今日こそ勝つよー! マ〇オカートはいつも負けるんだもんなー」

 茜がそう言い終わるとほぼ同時に、ゲームがスタートする。途惑いながら始まった対戦モードだが、コントローラーを握り、画面を見ると、いつものように指先と視覚が反応する。マ〇オはあっさりとルイ〇ジの前を走った。

「あー! もう抜かされたし。なんでそんなに早いかなあー」
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