君とのゲームの行方
 いや、全く意味がわからないというのは、嘘。この時今までこの状況を悲観することしか出来なかった俺に、ある種の期待が生まれる。

 茜が俺に何かを求めているのかもしれない。何か……そう、俺が茜に求めていることと、ほぼ同じもの。

「負けた奴は勝った奴の言うことを一つ聞く。昔から、うちらの掟だよね?」

 ぎこちなく微笑む茜。俺は茜に言われてそのことを思い出し、硬直した。

 ――なあ、茜。お前……。

 俺は、期待してもいいのか? 俺と茜が、同じ気持ちだって。今みたいな俺たちだけの時間を、誰にも奪われたくないって思っているって。

 そして、今目の前に居る相手の事を、誰よりも好きだという気持ちを、お互いに持っているってことを。

「今ならなんでも言うこと聞くよ。弘人の言うことなら、なんでも。だって、それが掟だから」

 掟? なんだよそれ。

 今なら俺は言う。そんなものがなくても、茜の望んでいる言葉を。

 ――ずるい女。こんな手を使って、俺に言わせようとするなんて。そう思うと同時に、嬉しさが込み上げてくる。

 そして俺はじっと茜を見つめて、こう言った。
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