君とのゲームの行方
「あはは。どうやったらそんなに弱いままでいれるのかな。本気で思うんですけど」

「お前が強すぎるの! なんたって、そんなにゲーム強いんだよ!」

「えー? うーん……天才だから?」

「……よかったな」

 俺が白い目で見ながら言うと、茜はくくっと口の中で不敵に笑う。くそ、いつか絶対その余裕綽々の顔をゆがませてやる。

 俺と家が近所の茜は、小学生の頃から俺の部屋でこうして一緒にゲームをやることが多かった。高校生になった今でも、変わらずにまるで習慣のように、俺たちはこうしてゲームをしている。

 茜に対して恋愛感情があるとか、増して俺らが付き合っているとか、そういうことでは一切無い。単純に、こいつとゲームをするのが楽しいのだ。……負けてばっかりだけど。

 でも、負けた時に俺が素直に悔しがったり、茜が俺に親しみを込めてけなしたりする、今のようなやりとりが、俺は純粋に楽しかった。

「てゆーか弘人。負けたからジュース買ってきて」

「……」
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