君とのゲームの行方

「昨日私弘人に勝ったのに、何も弘人に命令してない」

「あ……そういえば。ジュースだっけ」

「ううん、もうジュースはいいや」

「え、じゃあ何？」

　俺が眉をひそめながらそう言うと、茜は満面の笑みを浮かべて、こう言った。

「キスして」

　笑みを浮かべながらも、瞳に宿した光は真剣そのものだった。俺は何も言わずに手を伸ばして茜の頬を撫でると、そのまま自分の元へと引き寄せて、そっと唇を重ねた。








　もしかしたら、茜は俺がまだ何も考えていない頃から、さっきまでの俺のような痛みを抱えていたのかもしれない。……俺の自惚れかもしれないけど。

　だけど、もしそうだとしたら、本当にごめんな。あんなに切ない想いを、ずっとさせてしまって。俺、何も気づかなくて。ごめん、俺ガキだったんだ。