夏恋(ナツコイ)!
「……海、どうしたんだよ?」
言いながら、浩平が近づいてくる。
どう答えていいかわからなくて思わず後ずさって、
「……どうしたって、その……、」
さっきの場面が思い浮かぶ。
『あいつに会って、ちゃんと気持ち確かめて来なって。ほら、行きな』
気持ち確かめてとか言われても……浩平なんかと、本当に私……。
考えてうつむいていると、すぐそばまで浩平が来ていた。
「……夏季、ちゃんと言えよ。あいつと泊まって来なかったのかよ?」
いつにない真剣さで聞かれてるような気がして、顔を上げた。
「……なんで、そんなの気にするのよ…?」
「……気になるからだろ…」
浩平がぼそりと言う。
「……だから、なんで……」
「……気になるんだよ。おまえのことが……」
呟いて、
「……昨日の夜、雅和に泊まりに行くって聞かされてから、ずっと気になって、寝られなくて……俺」
そう続けた。