夏恋(ナツコイ)!
夏祭りは地元で開かれる年に一度の大きな催しで、小学生の頃こそグループで浩平とは一緒に行ったけれど、
ここ数年は、自分の女友達とかと行くのが多くて、彼を誘おうなんて気も全然起きたことがなかった。
「……久しぶりすぎて、お祭りでどういう顔していいかもわかんない」
お祭りの当日、ぼんやり思う。
どうしよう……気持ちがまるで追いついていけてないんだけど。
……恋人どうしって、どんな風にしてればいいんだっけ?
全く検討もつかなくて考え込みながら、ふと……
(浴衣を着てみるとか)
と、思い立った。
まずは外見から入って、それで向こうが褒めてくれたりもしたら、そこからまた進展もあるだろうし、
いつもと違う格好をしてみるのは、自分の意識を変えるのにもいい気がして、しまってあった浴衣を引っ張り出した。