夏恋(ナツコイ)!
白地に赤い金魚の柄が映える浴衣を着付けてもらって、髪をアップにセットすると、我ながらちょっと艶っぽくも見えるみたいで、これなら浩平との仲ももしかしたらステップアップするかもなんて思った……。
……神社の境内で待っていると、
「…あっ、浴衣」
浩平の方も浴衣姿でやって来た。
「……浴衣か、」
近寄って来た彼が口にして、褒めてくれるかもと思ってたら、
「ふぅ〜ん」
と、気のない素振りで呟いて横を向いた。
「……ちょっと、せっかく着てきたんだから、ちゃんと見てよ」
そむけた横顔に言うと、
「……見たじゃん」
視線も合わせないまま素っ気なく応えられて、
「だいたい俺だって、浴衣だし」
とか、どうでもいいようなことを返してきた。