夏恋(ナツコイ)!
「……だって、言ってくれなきゃわかんない……」
「……女みたいなこと、言ってんな」
「……女だし、だって、」
尖らせた唇に、
「……俺だって男なんだし、そんなかっこされたらどうしていいかわかんねぇだろうが……」
もう一度、口づけられて、
「……バーカ」
照れ隠しみたいに言われて、
「……バカって、何よ…」
こっちまで照れてくるみたいで、うつむいて言い返すと、
「浴衣可愛いわ 、バカ」
ぎゅっと抱きしめられて、
「そっちだって、浴衣かっこいいしバカ」
背中に腕をまわして抱きつく。
……境内に響くお囃子と喧騒をかき消すように、
ドーンと、大きな花火が夜空に上がる。
「……好きだよ、夏季」
うん……と、頷いて、
「……浩平が、好き」
もう迷うことはないと感じた。
……幾つも上がる花火の下で、次の夏もその次の夏も、
彼と一緒にいたい……そう思った。
end